工芸の価値や文化を東京から世界に発信し、手仕事を大切にする人々をつなぐギャラリー

10年後、この産地にほとんど窯元は残ってないだろうね。

事業を始める前、日本の陶磁器の有名な産地で、職人からこんな言葉を聞きました。廉価品や他の素材の代替品が増えたことで需要は落ち込み、後継者不足も深刻になっています。陶磁器以外の工芸も同じような状況にさらされています。

私たちの生活にはモノがあふれ、一見すると物質的に豊かであるように見えます。しかし人の手によって丹精を込めて生み出される創作物やその技能は、日本だけでなく世界中で静かに姿を消そうとしています。

職人の言葉に心を動かされ、自分たちに何かできることはないのだろうかと考えていたタイミングで、事業を始めるきっかけとなる出来事がありました。海外から東京に遊びに来た友人を家に招いた時、お茶を入れて出したグラスを彼はとても気に入ってくれました。

どこで作られたものかと聞かれたので、東京の下町で職人が作ったものだと伝えると、彼はとても驚いていました。

「東京にガラス職人がいるなんて全然知らなかったよ。今度ぜひ工房を見に行きたい。私の国の友人も気に入ると思う。」

彼の言葉を聞いて、工芸を愛する世界中の人々がつながり合い、人の手から生み出される創作物のすばらしさを共有していけば、工芸が直面する厳しい現状は変えられるのではないかという大きな可能性を感じました。

人の手で丹精込めて作られる工芸品を東京から世界中に届けたい。
工芸の文化や製作の過程、職人や作家の技能や思いなど、Craftsmanshipの魅力を深く知ることができるギャラリーのような場所を生み出したい。
そんな思いで、私たちはTokyo Crafts Galleryを始めました。

職人や作家をはじめとする工芸の現場が、Tokyo Crafts Galleryを通じて、世界中の工芸を愛する人々とつながることで、工芸のすばらしさを広め、これからの時代に残していくことができればと私たちは願っています。